かつて佐野のラーメン店といえば、炎天下や木枯らしのなかで延々と立ち尽くすのが当たり前だった。しかし、ここ大和の店先には、かつての過酷な行列風景はない。導入された発券システムとLINE通知により、訪れた客は車内や近隣の施設で待機できるようになり、待ち時間そのものが旅の行程に組み込まれている。
それでも客足は鈍るどころか加速した。整理券の配布開始とともに駐車場は即座に満車。呼び出しまでの2時間、3時間は当たり前だ。この「待ってでも食べたい」という心理的ハードルの高さが、かえって体験のプレミアム感を際立たせている。行列をデジタル化してもなお溢れかえる人々の熱量は、地方創生の文脈でも注目に値する現象だ。