日本の競馬史において、現代の女性騎手躍進の扉を力強くこじ開けた存在といえば、間違いなく藤田菜七子だ。日本中央競馬会(JRA)で久々の女性騎手としてデビューした当時、彼女を取り巻くフィーバーは凄まじいものがあった。だが、彼女の本質はフィーバーの主役にとどまらなかった点にある。
泥泥のダートコース、猛者のひしめくローカル開催。地道な騎乗依頼を重ね、JRA女性騎手初の重賞制覇や通算100勝を達成した軌跡は、後に続く世代への道標となった。「女性だから」という偏見を結果で覆してきた彼女の努力があったからこそ、現在のJRA騎手学校における女性合格者の増加や、女性騎手減斤ルールの活用が当たり前の光景として根付いたのだ。