神仏習合(神仏混淆とも呼ばれます)を理解する第一歩は、本来まったく出自も世界観も異なる2つの宗教の性質を整理することです。外来の宗教を拒絶して排除するのではなく、自らの土着信仰の中へ柔軟に組み込んでいったプロセスの根幹がここにあります。
そもそも神道は、山や川、巨石、太陽といった自然界のあらゆる事象に霊性を認めるアニミズム(精霊信仰)から発しています。教祖はおらず、体系化された教典も戒律も存在しません。「清浄」を尊び、死や血を「穢れ(けがれ)」として徹底的に忌み避ける現世中心の思想です。
対して仏教は、紀元前のアジアで釈迦が説いた高度な哲学と思想体系を持ちます。輪廻転生からの解脱を掲げ、生老病死の苦しみと真正面から向き合う宗教であり、死後の魂の救済を重視します。教典、戒律、仏像という圧倒的な可視性を備えていました。
これほど対照的な2つがなぜ排除し合わなかったのか。神道には明確な排他的一神教のような教義がなく、仏教側も土着の精霊を「護法善神(仏法を守る神々)」として取り込む受容力を持っていたため、奇跡的な共生が成立しました。