「五本指ソックスは外反母趾の予防になる」と信じられていますが、状況によっては外反母趾への悪影響を及ぼすことがあります。生地の厚みで指幅が押し広げられた状態で先の細い靴を履き続けると、親指と小指の外側から中央に向かって強い外圧がかかり、母趾の変形を助長してしまうためです。靴のワイズ(足囲)を広げずに靴下だけを五本指に変える行為は、かえって足の骨格バランスを崩す引き金になりかねません。
通気性の面でも誤解が存在します。「指股の汗を吸うから臭わない」と期待される一方で、ポリエステル混紡率の高い安価な製品を選んだ場合、繊維内に湿気がこもって蒸れる・臭い原因を作り出します。密閉された靴の中で高温多湿状態が続けば、雑菌が繁殖して強烈な臭いを発する環境が完成してしまいます。
なお、皮膚科領域で注目される水虫の予防効果については、白癬菌が好む指の間の湿り気を取り除く点で有効性が認められています。ただし、これも靴下がしっかりと汗を吸収・放湿できる天然素材で作られており、靴のサイズに余裕がある場合に限られます。蒸れた状態を放置すれば、五本指ソックスであっても水虫のリスクを回避することはできません。