昨今のサウナブームにおいて、歴史あるレトロ銭湯のサウナと水風呂が再評価されています。喜代乃湯の温浴構造を細かく紐解くと、最新鋭のハイテクサウナ施設とは一線を画す「銭湯本来の身体調律力」が息づいていることが分かります。
浴室の奥に鎮座するサウナ室は、過度な湿度コントロールや派手なオートロウリュこそありませんが、熱源の直近からじわりと伝わる骨太な輻射熱が特徴です。コンパクトな室内は木材の香りとほのかな歴史の染み込みを感じさせ、じっくりと毛穴を開かせてくれます。
そして愛好家が絶賛するのが「地下水脈から汲み上げられた水風呂」です。チラー(冷却機)で強制的に10℃前半まで冷やし込む近代型サウナとは異なり、肌触りが極めて滑らかで、刺すような痛みが一切ありません。水温は季節によって微動しますが概ね18℃〜20℃前後。この絶妙な温度帯こそが、血管を無理に収縮させず、副交感神経を優位に導く理想のセッティングと言えます。
さらに喜代乃湯名物の「43℃を超える深浅あつ湯」と水風呂を交互に往復する「温冷交代浴」は、サウナ利用券を購入しない一般入浴者にも絶大な支持を得ています。熱い湯で末梢神経を刺激し、冷たい水で引き締める。これを3セット繰り返したあとに脱衣所の縁側やベンチで浴びる扇風機の生ぬるい風は、まさに至福の境地です。