流通の現場でも大きな地殻変動が起きている。三越伊勢丹をはじめとする大手百貨店では、単に工芸品を陳列する催事から、職人の制作背景や風土の物語を伝える体験型ギャラリーへと売り場をシフトさせた。作り手の息遣いを直接感じられるポップアップイベントには、20代から40代の若いコレクターたちが詰めかける。
同時に、デジタル空間での躍進も著しい。楽天市場などの主要ECプラットフォームにおける工芸品の売上データを見ると、日常使いの食器やパーソナルギフトとしての需要が右肩上がりで推移している。高解像度の動画や工房からのライブ配信によって、製作プロセスの緻密さが可視化され、価格以上の納得感を持って購入するユーザーが定着した。実店舗とデジタルの双発エンジンが、これまで届かなかった層へのアプローチを可能にしている。