インターネット上の掲示板やSNSでは、近年の香川高校野球について「私立優勢が決定づけられ、公立校の時代は終わった」といった極論が散見されます。専用グラウンドや室内練習場、県外からの越境入部といった私学の充実した環境を見れば、一見もっともらしい主張に思えるかもしれません。しかし、現場の実情を丁寧に取材すると、この見方は明確な誤解であることが分かります。
事実として、香川県は全国的に見ても「公立校の指導レベルと選手育成力が極めて高い地域」として知られています。その背景には、香川県高校野球連盟を中心とした指導者間のオープンな研究会文化があります。県内の公立校指導者たちは、最新のバイオメカニクスやトレーニング理論を積極的に学び合い、限られたグラウンド環境や練習時間を補う緻密なメニューを構築してきました。
また、地元の中学軟式野球やシニア・ボーイズリーグの指導者たちとの連携も強固です。地元で育った有望な原石たちが、安易な私立志向に流れることなく「地元の公立伝統校で甲子園を目指す」という選択肢を誇りを持って選んでいます。公立校が私立の強豪を撃破するアップセットは、決して偶然の産物ではなく、綿密な戦略と育成の積み重ねによって生み出されている必然なのです。