本来はドラマの1シーンに過ぎなかった日常的なセリフが、なぜ日本国民全員の共通言語となったのか。その立役者は、ものまねタレントのホリさんです。
ホリさんは2000年代初頭、木村拓哉さんのものまねを開発するにあたり、膨大な過去映像を検証しました。その中で『ラブ ジェネレーション』において理子を呼び止める「ちょ、待てよ」という語感の鋭さと、木村拓哉さんならではの鼻に抜けるような語尾のニュアンスに着目。これをコントのツッコミやオチとして機能する「決めフレーズ」として再構築したのです。
さらにホリさんは、視覚的に最もインパクトのあった『HERO』の久利生公平スタイル(A BATHING APEのレザーダウンジャケットに長髪ウィッグ)を着用しながら、セリフは『ラブ ジェネレーション』の「ちょ、待てよ!」をハイテンションで連呼するという「キメラ型ものまね」を完成させました。これが『爆笑そっくりものまね紅白歌合戦』や各種バラエティ番組で大ウケし、視聴者の記憶の中で「木村拓哉=ダウンジャケットを着て『ちょ待てよ』と叫ぶ男」という強力なパブリックイメージが完成したのです。
テレビ特番や対談企画において、木村拓哉さん本人がホリさんと対面した際、「お前さ、俺あんなに『ちょ、待てよ』って言ってないからな!」と笑顔で突っ込みを入れたエピソードはファンの間でも有名です。本人が公認し、ユーモアを交えて受け入れたことで、このフレーズはネガティブなパロディを超え、愛される国民的エンターテインメントへと昇華しました。