蜷川幸雄という巨木は、所属事務所や組織の枠組みを超えた文化的な渦を生み出した。蜷川作品を長年支え続けたホリプロと、小栗が所属し現在は社長として舵を取るトライストーン・エンタテイメント。ビジネスの垣根を超えてタッグを組み、質の高い舞台コンテンツを世に送り出し続けた歴史は、現在のエンターテインメント業界における協調と変革のモデルケースとなっている。
小栗はいま、プレイングマネージャーとして自社の若手俳優たちに「蜷川イズム」を継承している。ただ甘やかすのではなく、表現の厳しさと舞台に立つ恐怖、そしてそれを乗り越えた先にある快感を背中で語る。かつて蜷川から受け取った情熱のバトンは、新しい世代へと確実に受け継がれ、日本の演劇界全体の地殻変動を起こし続けている。