高輪ゲートウェイ駅の魅力を決定づけているのが、惜しみなく使われた天然の木材だ。隈氏といえば、国立競技場の設計で見せた木材活用の哲学が記憶に新しいが、本駅舎においてもその揺るぎない思想が細部にまで貫かれている。使用されている木材の多くは福島県産をはじめとする国産のスギ材であり、トラス構造のフレームや天井のフェンスにふんだんにあしらわれている。
近年の建築業界において、環境負荷の低減と地域資源の活用を両立させる現代木造建築の価値は急速に高まっている。コンクリートと金属が支配的だった高度経済成長期の駅舎デザインから脱却し、木材の豊かな質感と香りを都市インフラに取り入れたこの試みは、持続可能な未来への強力なメッセージにほかならない。