アングラーを惹きつけてやまないのが、同エリアが誇っていた抜群の実績です。三河湾奥に位置する蒲郡港は、潮通しが良くプランクトンが豊富なため、クロダイ、シーバス(スズキ)、アジ、ハゼ、サビキ釣りの小魚に至るまで多種多様な蒲郡ふ頭11号岸壁の釣果情報が記録されてきました。
とりわけ晩秋から冬場(11月〜翌年1月頃)にかけては、小型のツツイカである蒲郡ふ頭11号岸壁のヒイカ釣果が爆発的な人気を博しました。小型のエギ(1.5〜1.8号)やスッテ仕掛けを使い、夜間に投光器や強力な集魚灯を海面に照射してイカの群れを寄せる釣りスタイルです。最盛期には一晩で束(100杯)超えを果たすベテランも多く、東海エリア随一の「ヒイカの聖地」と称えられていました。
しかし、この人気こそが崩壊への引き金となりました。蒲郡ふ頭における夜釣りのルールを無視し、大出力の発電機を持ち込んで爆音を響かせたり、夜間航行する船舶の視界を妨げるほどの強力なメタルハライドランプを照射したりする行為が横行したのです。船舶運航者からの相次ぐ通報と苦情を受け、夜間の警備体制は急速に強化されることとなりました。
現在は、照明器具を用いた夜間釣り自体が警戒対象となっており、集魚灯の光を見つけた警備車両や警察のパトカーが即座に現場へ駆けつけるケースが標準化しています。かつての「ヒイカパラダイス」の感覚で夜釣りを行おうとすることは、完全に時代錯誤なリスク行為です。