インターネット上の動画や掲示板では、「傘の骨(ビニール傘のパーツ)」や「ヘアピン」「マイナスドライバー」を鍵穴に突っ込んで回すといった、いわゆる自力開錠の裏ワザがまことしやかに語られています。SNSや知恵袋の投稿を検証すると、「10秒で開いた」と歓喜する声がある一方で、「シリンダー内で針金が折れて完全に詰まった」「マイナスドライバーでこじ開けようとして指をざっくり切った」という悲惨な失敗談が数多く散見されます。
テレビ番組で「すごわざ鍵開け達人」として知られる鍵職人・田口季良氏(SLS株式会社マネージャー・キャリア12年)ら専門家が指摘するように、現代の自転車リングロック解錠方法は素人の小細工が通用するほど甘くありません。一昔前の単純な板状キー(プレスキー)であれば内部のピン構造が粗く、簡易ツールで動くこともありましたが、現在の市販車に採用されているディンプルキーやシリンダー錠はピッキング対策が施されており、異物を差し込むと内部機構が完全に噛み合ってロックが永久固定されます。
また、自転車の鍵ワイヤーカッター切断を試みるユーザーも少なくありません。細いワイヤーロックであれば100円ショップの小型工具でも切断できる場合がありますが、本格的なリング錠のカンヌキ(硬化鋼)や太さ10mm以上のワイヤーは、家庭用カッターでは刃こぼれを起こすだけです。ホームセンターで大型ボルトクリッパーを購入して破壊する手法もありますが、工具代に3,000円前後かかるため、「自転車屋に持ち込んでプロに交換してもらう費用」とほとんど変わらないという本末転倒な結果に陥ります。