引っ越し直後は荷解きや諸手続きに追われ、一刻も早く溜まった洗濯物を洗いたいという焦りが生じがちです。しかし、まさにその焦燥感こそが重大事故の引き金となります。現場の配管工や損害保険の査定員への取材によると、自力設置で起きる漏水事故には極めて典型的なパターンが存在します。
最大の盲点となっているのが、給水栓との接合部です。古い賃貸物件に多い万能ホーム水栓の場合、4本のネジで固定する金具を取り付ける必要がありますが、締め付けのトルクが不均一だと水圧に耐えきれず、深夜や留守中に突然外れて室内を水浸しにします。現在推奨されている洗濯機給水ホースニップル交換によるオートストッパー(緊急止水弁)付き水栓への刷新を行わず、旧居の部材をそのまま無理に流用することが事故を激増させる根本原因です。
もう一つの事故多発地点が足元の排水部分です。賃貸住宅の床面に設置されている排水口には、ホースと配管を密閉して臭気や漏水を防ぐ専用パーツが不可欠です。正しい排水ホースエルボ取り付け方を理解せず、ビニールテープで仮止めしたり、エルボを介さず直接ホースを排水溝へ差し込んだりした結果、脱水時の強烈な排水圧によってホースが跳ね上がり、床一面に汚水が溢れ出すトラブルが頻発しています。
「自分だけは大丈夫」という根拠のない過信が、床材の全面張り替えや階下住民の家財補償といった、数十万〜数百万円にのぼる痛烈な金銭的被害となって跳ね返ってくるのが水回りの恐ろしさです。