皮膚科の待合室やSNS上のコミュニティ、Q&Aサイトに寄せられる年間数千件に及ぶノミ被害の声を精査すると、教科書的な医学情報だけでは見えてこない、生活面での過酷な実態が浮かび上がってきます。
都内のIT企業に勤務する30代男性は、自宅マンションでノミ被害に遭った当時の様子を次のように振り返っています。
「最初はベランダで蚊にでも刺されたのだろうと軽く考えていました。しかし翌日の夜、足首のあたりが熱を帯びてジンジンと痛み出し、皮膚をむしり取りたくなるほどの狂気的なかゆみに襲われました。見ると赤く腫れ上がった頂点に親指大の水ぶくれができており、歩くだけで靴下が擦れて激痛が走る状態。市販のかゆみ止めパッチを貼っても全く歯が立たず、結局、3日連続で一睡もできずに皮膚科へ駆け込みました」
また、知恵袋やコミュニティフォーラムで極めて頻繁に見られるのが、「掻きむしりによる二次被害の後悔」です。ノミのかゆみは人間の我慢の限界を超えるレベルに達するため、就寝中などに無意識に爪で掻き壊してしまうケースが後を絶ちません。その結果、傷口から黄色ブドウ球菌や化膿レンサ球菌が侵入し、広範囲に膿胞が広がる「とびひ」や、皮下組織まで細菌が達して下肢全体がパンパンに腫れ上がる「蜂窩織炎」に移行し、抗生物質の点滴治療を余儀なくされた事例も報告されています。
さらに見過ごせないのが、小児における「瓜実条虫(サナダムシ)の経口感染リスク」です。ネコノミの体内にはサナダムシの幼虫が寄生していることがあり、床をハイハイする乳幼児が、手についたノミの死骸や成虫を無意識に口に入れてしまうことで体内に寄生虫が宿る症例が存在します。消化器症状や便の中に米粒状の片節が排出されるなど、親御さんにとって精神的ショックの大きい被害へと波及する危険性を孕んでいます。