インターネット上の健康情報やSNS動画では、「背中が痛ければ肩甲骨を回してほぐそう」「テニスボールを当ててゴリゴリ押そう」といったアドバイスが散見されます。しかし、医療現場の視点から見ると、これは極めてリスクの高い自己判断です。
第一の誤解は、「筋肉痛と内臓痛は押せばすぐ区別できる」という思い込みです。内臓の関連痛であっても、脊髄反射によって背中の筋肉が二次的に硬直し、押すと痛む「偽のトリガーポイント」を形成することがあります。そのため、「指圧して気持ちいいから単なるコリだ」と過信し、膵臓がんや胆嚢炎の発見が遅れる事例が後を絶ちません。
第二の誤解は、「急激な痛みにもストレッチが効く」という誤った対処法です。いわゆるぎっくり背中の対処法において、受傷直後の急性炎症期(発症から48時間以内)に無理な伸展運動や強揉みを行うと、微小断裂を起こした筋線維の損傷をさらに拡大させます。筋肉が炎症を起こしているときは、まず安静と局所のアイシングが鉄則であり、強いストレッチは厳禁です。