新時代の幕開けを象徴する決定打となったのが、2021年のNHK新人落語大賞だった。桂二葉が大賞を満票で獲得した瞬間、審査員席のみならず全国の演芸ファンに衝撃が走った。入門から10年以上の歳月を重ね、甲高い声の抑揚を逆手に取った独特のリズムと、登場人物の感情を鷲掴みにする表現力。審査員を務めた名だたる重鎮たちに「文句のつけようがない」と言わしめた高座は、女性が上方落語のど真ん中で天下を取れることを証明した金字塔である。
時を同じくして、東京では蝶花楼桃花が破竹の勢いで頭角を現した。春風亭ぴっかり☆時代から磨き上げた卓越した愛嬌と確かな技術を武器に、2022年に真打へ昇進。下席の浅草や新宿の寄席で主任(トリ)を務め、女性落語家だけを集めた前代未聞の興行を大成功に導くなど、業界の興行形態そのものを刷新し続けている。二人の存在は、観客の意識を「女性だから観る」から「面白いから観に行く」へと完全に書き換えた。