物語の舞台は、海沿いの静かな港町。主人公の越前さん(麻生久美子)は、町の小さなかまぼこ工場に勤める地味で自己主張が苦手な女性です。日々の理不尽なストレスややり場のない愚痴を晴らすため、彼女は日記代わりにノートの端へ暗いタッチの自作漫画『泣くな、はらちゃん』を描き殴るのが唯一の日課でした。
ある日、そのノートに強い衝撃が加わったことをきっかけに、漫画の主人公・はらちゃん(長瀬智也)が現実世界へと奇跡の実体化を果たします。初めて目にする現実世界の青空、温かい食事、そして自分たちを生み出してくれた「神様」である越前さん。はらちゃんは、いつも暗い顔をしてうつむく越前さんを笑顔にしたい一心で、ピュアすぎるほどの真っ直ぐな言葉を投げかけ続けます。
脚本を手掛けたのは、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』や『ちゅらさん』など数々の名作を生み出してきた名手・岡田惠和。突拍子もないファンタジー設定でありながら、描かれるのは「生きることの切なさと愛おしさ」という普遍的なテーマです。当時の視聴者やドラマ批評家からも絶賛され、第76回ザテレビジョンドラマアカデミー賞では監督賞などを受賞するなど、高い評判を獲得しました。