楽曲の骨格を築いたのは、昭和のヒットメーカーである作詞家・有馬三恵子と作曲家・川口真のコンビである。二人が紡ぎ出した世界観は、当時の歌謡界の常識を鮮やかに裏切るものだった。
有馬三恵子のペンは、ドロドロとした不倫や許されぬ恋を、驚くほどドライかつ映画的な筆致で切り取った。「逢う時にはいつでも 他人の二人」という冒頭のワンフレーズだけで、互いの私生活に踏み込まない割り切った大人の関係性を完璧に描写している。ウエットな情念に逃げず、都会的な孤独と享楽を等身大で描いた歌詞は、自立し始めた当時の女性たちからも密かな共感を呼んだ。
そこへ川口真が持ち込んだのが、洗練されたソウル・ミュージックと歌謡メロディの大胆な融合だ。ファンキーなベースラインに、一度聴いたら耳から離れないブラスセクションとスキャット。CBS・ソニーの先進的なレコーディング技術も相まって、海外のブラックミュージックに引けを取らないグルーヴィーなサウンドが完成した。歌謡曲でありながら最高峰のダンスミュージックでもあるという二面性こそ、本作が時代を跨いで生き残り続ける最大の構造的要因だ。