物語の終盤、毒に冒され自らの死期を悟ったメルエムが最後に望んだのは、世界征服でも全能の力の行使でもなかった。ただ一目、暗闇の中でコムギと軍儀を打つことだった。
「コムギ、居るか?」
「はいはい、居ますよ。王様、あなたの番ですよ」
盲目のコムギは、王が死の毒を纏っていることを知りながらも、その場を去ることを拒んだ。「私はこの日のために生まれてきたのかもしれません」と語り、添い寝するように寄り添う二人。真っ黒に塗りつぶされた見開きコマの中に刻まれた短い対話は、少年漫画の枠組みを完全に突破した最高峰の芸術的瞬間として、今なお語り継がれている。