長きにわたり第一線を走り続けてきた本シリーズにおいて、いま最も関心を集めているのが、沢口靖子演じる主人公・榊マリコを巡る環境の急激な変化だ。これまで数々の困難な鑑定を成功させてきた彼女だが、物語の新たな局面では、研究者としての信念や倫理観を試されるような苛烈な局面と向き合うことになる。
特に注視すべきは、これまでのエピソード内に潜んでいた未公開の伏線である。過去に登場した鑑定データの僅かな歪みや、旧知の人物から残された謎めいた言葉。一見すると解決済みに思えた出来事が、時を経てマリコ自身の過去や科捜研の組織的危機へと地続きに繋がっていく構造は見事というほかない。張りつめた緊迫感のなかで紐解かれる真実から目が離せない。