バッターボックスに立つ相手打者が、思わずのけ反る。最速150キロを超えるストレートが内角高めにズバッと決まった瞬間、球場全体に地鳴りのような歓声が轟いた。ただ速いだけではない。指先から放たれるボールには、生命が宿っているかのような強烈なスピンが効いている。
圧巻だったのは、決め球として繰り出される縦に鋭く落とす変化球だ。打者の手元で消えるかのように落ちるその一球に、並み居る強豪校のクリーンアップも手も足も出ない。奪三振率は驚異の13点台。だが、本人が最もこだわっているのは三振の数ではないという。「一番大事なのは、相手の戦意をくじく一球を投げ込めるかどうか」。その言葉通り、勝負どころで見せるギアチェンジの鋭さは異次元だ。