本作の魅力を語るうえで欠かせないのが、水沢めぐみ氏の秀逸なネーミングセンスによって生み出された魔法のアイテムと呪文の数々です。日常生活の延長線上に魔法が入り込むワクワク感は、当時の読者・視聴者を熱狂させました。
物語の主軸となる変身の呪文は、リボンを結びながら唱える「パラレル・パラレル・〇〇になれ!」。自分以外の誰かに姿を変えるという願望を端的に表現したこのフレーズは、90年代の小学生の間で一大ブームとなりました。そして、元の姿に戻るための呪文が「ルパラ・ルパラ・もとのすがたになれ!」です。「パラレル」の文字列を逆から読ませるというシンプルかつ知的な言語感覚は、言葉遊びとしての快感を子供たちに提供しました。
さらに物語が進むにつれて登場したサポートアイテムも極めて魅力的でした。時間を一時的に止めたり過去・未来へと移動できる「パレットキャンドル」(呪文:「タイム・トラベル・〇〇へ行け」)、体を小さくして狭い場所に潜入できる「魔法のキャンディー」、さらには複製人間を作り出す「分身コンパクト」など、変身以外のギミックが姫子のトラブル解決を重層的に支えました。これらのアイテムは単なる便利ツールではなく、「他人の立場や視点を疑似体験する装置」として機能していた点が、本作を凡百の変身魔法少女ものと一線を画す傑作に押し上げた要因です。