家庭で関西風を実践する際、最も多い失敗が「焦げ付き」と「味のブレ」です。老舗料亭の料理長が指南する基本ルールを押さえるだけで、家庭の卓上コンロでも驚くほど均一で芳醇な仕上がりが手に入ります。
成功の鍵を握るザラメと醤油の配合比率は、以下のバランスを基準にします。
【関西風すき焼きの黄金比(肉100gあたり)】
・中双糖(ザラメ):大さじ1(約12〜13g)
・本醸造濃口醤油:大さじ1(約15ml)
・純米酒(または料理酒):大さじ1/2(約7.5ml)
調理開始時の牛脂の使い方と焼き方のコツにもプロの技術が光ります。牛脂は鍋の中央に放置するのではなく、しっかりと熱した南部鉄器などの厚手鍋の底面全体、さらには側面の立ち上がりまで丁寧に塗り広げます。牛脂から滲み出た良質なヘット(牛脂油)が鍋肌をコーティングしたところで、弱中火に落とし、肉を広げ入れます。
肉を広げたらすぐに触らず、底面に焼き色がつき始めた瞬間を見計らって肉の真上にザラメをパラパラと振りかけます。その上から醤油をジューと音を立てて回しかけ、裏返して酒を少量振ります。全体が美しい照りを帯び、わずかに赤みが残るミディアムレアの段階で溶き卵にくぐらせて口へ運ぶのが、プロが教える失敗しない手順の第一関門です。