この伝説的な掛け合いが生まれた背景には、2000年代半ばのお笑いブームにおける現場の熱気がありました。ハリセンボンがデビュー間もない2005年から2006年頃、劇場ライブやテレビのひな壇トークにおいて、共演者から「角野卓造さんですよね?」と唐突に振られた際、近藤春菜さんが反射的に返した「角野卓造じゃねーよ!」という一言がスタジオを大爆笑の渦に巻き込みました。
当時、近藤さん本人は大御所俳優の名前を呼び捨てでツッコむことに強い恐怖とプレッシャーを抱えていたと、後の回顧録や特番インタビューで述懐しています。しかし、その懸念を吹き飛ばしたのが角野卓造さん本人の規格外の度量でした。
二人の初対面は、あるバラエティ特番の楽屋裏でした。緊張で震えながら謝罪に訪れた近藤さんに対し、角野さんは満面の笑みでこう言葉をかけました。「君のおかげで、街を歩くと小学生から『あ、角野卓造だ!』って声をかけられるようになったよ。僕の名前を若い世代に広めてくれて本当にありがとう」。
叱責を覚悟していた近藤さんはこの温かい言葉に涙し、角野さんはその場で「これからも名前を使いなさい」と正式にネタを公認。さらには角野さん自身が他番組で「近藤春菜じゃねーよ!」と逆パロディを披露する神対応を見せ、二人の関係は一気に国民的公認コラボレーションへと昇華していきました。