SNSや動画プラットフォームでは「〇〇を塗るだけで瞬時に消える」といった裏ワザ情報が無数に出回っています。しかし、現場のクリーニング師に取材を行うと、ネットの誤情報を鵜呑みにして生地を修復不可能な状態にして持ち込む相談者が後を絶たない実態が見えてきます。
例えば、「消毒用アルコールスプレーを噴射する」というライフハック。アルコール自体に油を微細化する作用はあるものの、揮発性が高すぎるため油分を溶かしたまま周囲の生地へ拡散させ、かえって輪ジミを巨大化させてしまう落とし穴があります。また、「ベビーパウダーやチョークの粉を振りかけて油を吸わせる」手法は、付着直後かつ表面に浮いている油には一定の効果があるものの、繊維内部まで入り込んだ油にはほとんど作用しません。
外出先でラーメンやパスタの油が跳ねてしまった際の正しい応急処置は、決して「濡れたおしぼりでゴシゴシ擦らない」ことです。店舗から提供される湿性おしぼりには塩素系成分が含まれている場合があり、強く擦ることで生地の色抜けを引き起こします。外出時の鉄則は、乾いたティッシュペーパーで表面の油を上からギュッと挟み込んで吸い取ること。もし手洗い場が使えるなら、ハンドソープを少量指先につけてシミの表裏から軽く押さえ、水滴を含ませたハンカチで叩くように油分を紙へ移し取ることが、帰宅後の除去率を左右します。