インターネット上のミリタリーコミュニティやアニメ掲示板で定期的に再燃するのが、護衛艦やまと命名の噂です。「ヘリ搭載護衛艦(いずも型)の次は『やまと』になる」「将来の大型イージスシステム搭載艦に命名されるのではないか」といった期待混じりの言説が散見されます。
しかし、防衛省が定める「海上自衛隊の使用する船舶の区分等及び名称等を付与する標準を定める訓令」を精査すると、護衛艦の命名基準は明確に定められています。 DDH(ヘリ搭載型)や大型艦には「旧国名」または「山岳名」、汎用護衛艦(DD)には「天象・気象(雪、雨、風、波、霧など)」、ミサイル護衛艦(DDG)には「山岳名」などが用いられます。
旧国名としての「大和(やまと)」は命名基準の対象内ではあるものの、旧海軍の戦艦「大和」が背負う歴史的・政治的シンボル性の大きさから、防衛省は極めて慎重な姿勢を崩していません。周辺諸国への外交的配慮や、国民感情のバランスを考慮し、これまで「ひゅうが」「いせ」「いずも」「かが」といった旧国名が優先的に採用されてきた経緯があります。
また、ネット上では海自出航ラッパと主題歌にまつわる誤解も存在します。「護衛艦が出航する際、ヤマトのテーマ曲をラッパで吹いている」という俗説ですが、これは事実誤認です。海上自衛隊の艦艇が出航する際に吹奏されるのは、公式に定められた「出航ラッパ(喇叭譜)」であり、ヤマトのメロディとは音階も旋律も異なります。一般公開イベントの見送り時にBGMとしてヤマトを流した事例が、一部で混同されて伝わってしまったのが真相です。