一晩中ずっと夢を見て疲れるのはなぜ?朝の重だるさを解く医学と心理

一晩中ずっと夢を見て疲れるのはなぜ?朝の重だるさを解く医学と心理

一晩中ずっと夢を見て疲れるのはなぜ?朝の重だるさを解く医学と心理についての真相を徹底解説します。

「一晩中ずっと夢を見ていた」と感じる朝、私たちの体内では一体何が起きているのでしょうか。この疑問を解き明かす鍵は、睡眠サイクルの乱れにあります。

医学的に人間は、一晩の睡眠中に約90〜120分周期で「レム睡眠(急速眼球運動を伴う浅い眠り)」と「ノンレム睡眠(脳を休める深い眠り)」を繰り返しています。一般にストーリー性のある鮮明な夢を見るのはレム睡眠時ですが、近年の睡眠生化学の知見では、深さの足りない浅いノンレム睡眠(ステージ1〜2)でも断片的な思考のような夢を見ていることが判明しています。朝起きても疲労感が抜けない真相は、睡眠時間そのものの不足ではなく、大脳皮質を完全にクールダウンさせる「ステージ3の深睡眠(徐波睡眠)」が決定的に削られている点にあります。

本来、健康な成人の睡眠構築では、入眠直後の前半3〜4時間に深いノンレム睡眠が集中し、成長ホルモンの分泌や細胞修復、脳内の老廃物排出(グリンパティック系による代謝)が行われます。しかし、何らかの要因で睡眠の深度が浅くなると、脳は「覚醒に近いアイドリング状態」を朝まで維持してしまいます。浅い眠りとレム睡眠のメカニズムにおいて、レム睡眠中の脳(特に感情や記憶を司る扁桃体や海馬)は日中と同等か、それ以上に活発に酸素とブドウ糖を消費しています。筋肉の緊張は遮断されているものの、脳はまさに全力疾走を続けている状態であり、これがずっと夢を見て疲れる理由の医学的コアです。

さらに重要なのは、「夢を覚えている回数」と「中途覚醒」の相関です。脳は睡眠中に記憶を長期記憶へと転送する回路を一時的にシャットダウンしているため、レム睡眠からそのまま次の深いノンレム睡眠へと滑らかに移行すれば、どれほど激しい夢を見ていても起床時には綺麗さっぱり忘れています。しかし、眠りが浅く、レム睡眠の最中や直後に数秒から数分間の自覚できない微小覚醒(マイクロアローザル)が頻発すると、直前に見ていた夢の記憶が脳の側頭葉に焼き付けられます。結果として、起床時に「最初から最後までずっと夢を見ていた」という強烈な錯覚と疲弊感が生じるのです。

山本 拓海
著者

山本 拓海

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。