旅人の間で囁かれる「エレベーターの中まで畳敷き」「お風呂の洗い場にまで畳がある」という噂は、誇張でも都市伝説でもなく完全なる事実です。土肥温泉 たたみの宿 湯の花亭に一歩足を踏み入れると、玄関口で靴を預けて以降、チェックアウトの瞬間までスリッパを履く必要が一切ありません。館内に敷き詰められた畳の総数は約4,321畳に達し、ロビー、渡り廊下、階段、そして噂のエレベーター内部の床面まで、隙間なく美しい畳表で覆われています。
最も多くの旅行者が衝撃を受けるのが、最上階に位置する大浴場「露天風呂付き大浴場」の光景です。脱衣所から浴室の引き戸を開けると、御影石やタイルの冷たい床ではなく、一面にしっとりとした畳が敷き詰められています。体を洗う洗い場はもちろん、湯船の縁ぎりぎりまで畳が張り巡らされており、足裏から伝わるのは石の冷気ではなく、柔らかく温もりある感触です。
ここで誰もが抱くのが、「お湯や石鹸の泡で濡れる浴室の畳はカビや雑菌の温床にならないのか」という衛生面への疑問でしょう。取材資料および施設管理データによると、浴室エリアに敷設されているのは一般的なイグサの畳ではありません。水分を一切吸収しない防水ポリプロピレン製の特殊水畳が用いられています。この素材は耐水性・防カビ性・抗菌性に極めて優れており、水切れの良い特殊な織り構造によって泡や水分を素早く排水溝へと受け流します。
清掃工程においても、毎日徹底した温水洗浄と高圧殺菌乾燥が施されており、衛生管理基準は厳格に保持されています。濡れた状態でも滑りにくく、万が一転倒した場合でも衝撃を大幅に吸収するクッション性を備えているため、足元がおぼつかない高齢者や小さな子ども連れのファミリー層から「安心して温泉に浸かれる」と絶賛される最大の要因となっています。