物語のクライマックスにおける最大の焦点は、主人公・岡崎律(長瀬智也)が迎える残酷な最期と、母・日向麗子(大竹しのぶ)との間に横たわっていた誤解の真相です。視聴者の胸を締め付けた結末における死亡の直接的な理由は、かつて裏社会の抗争で頭部に受けた銃弾が摘出不可能な位置にあり、脳の損傷が進んで余命幾ばくもない状態に陥っていたためでした。
しかし、律の最期を単なる病死で終わらせないのが本作の圧倒的なドラマ性です。律は、自らの命が尽きようとする中、重度の心筋症で倒れた義弟・日向サトル(坂口健太郎)を救うため、自らの心臓をサトルにドナー提供する決断を下します。自分を捨てて裕福な暮らしの中でサトルだけを溺愛していると思い込んでいた実母に対し、復讐ではなく「息子の命を救う」という無償の愛の形で恩讐を乗り越えた瞬間でした。
さらに視聴者を絶望と深い感動へと突き落としたのが、終盤で明かされる出生の秘密です。母・麗子は決して律を自ら捨てたわけではありませんでした。当時未婚の母となった麗子の社会的地位を守るため、麗子の実父とマネージャーが共謀し、「生まれた子は死産だった」と虚偽の報告をして赤ん坊を孤児院へと預けていたのです。麗子は最愛の我が子が生きていることすら知らず、その喪失感を埋めるために養子として引き取ったのがサトルでした。
すべてを知った律は、真実を告げて母を生涯の罪悪感に苦しめることを拒み、自分が実の息子であることを明かさないままこの世を去ります。最期の瞬間、母が作った手料理のパスタ(韓国版では温かいご飯とスープ)を涙ながらに口にし、心の中で「ごめん、愛してる」と告げて静かに去っていく姿は、日本のドラマ史に残る屈指の号泣シーンとして語り継がれています。