フライパンで鮭を焼いた際に身が固くパサついてしまう最大の要因は、加熱温度の急激な上昇と水分の過剰蒸発にあります。魚の筋肉組織を構成するタンパク質(ミオシンやアクチン)は、温度が60℃から65℃を超えたあたりから急激に変性・収縮を始めます。強火で一気に熱を加えると、身の中の水分がスポンジを絞ったように「ドリップ」として肉汁ごと外へ押し出され、パサパサの食感へと変化してしまいます。
フライパンはグリルと異なり、底面からの直接的な伝熱(伝導熱)が中心です。そのため、油を敷いて中火〜強火で焼き続けると、表面だけが焦げて中心部の水分が抜けてしまいます。生鮭フライパンふっくら仕上げを実現するためには、表面を短時間で香ばしく固めた後、鮭蒸し焼きフライパン蓋を組み合わせ、内部温度を70℃前後に保ちながら水蒸気の対流で穏やかに火を通す設計が不可欠です。
また、鮭パサつく理由と対処法として見落とされがちなのが、鮭自体の脂質含有量と塩分の違いです。銀鮭やアトランティックサーモンは脂質が15〜20%と高く比較的しっとり仕上がりますが、秋鮭(白鮭)は脂質が2〜5%前後と非常に低いため、油分を補うか蒸し焼きの時間を綿密に調整しなければ瞬時に水分が失われます。