ネット上の口コミやSNSの短尺動画で「簡単に落ちる裏ワザ」として紹介されがちな方法の中には、ホーローの寿命を一瞬で縮めてしまう危険な誤情報が多数混在しています。特に注意すべきはメラミンスポンジ(激落ちくん等)の使用です。
メラミンスポンジは、硬度の高いメラミン樹脂の微細な骨格で表面を削り取る「超微粒子ヤスリ」そのものです。ホーローの表面硬度に対してメラミン樹脂は微細なスクラッチ傷を刻み込みます。一度目に見えない無数の傷がつくと、ガラス特有の光沢が失われるだけでなく、微細な溝に油分や食材が入り込み、「以前よりも焦げ付きやすく、汚れが落ちにくい鍋」へと不可逆的に劣化してしまいます。
ホーロー製品を扱う上で、絶対に避けるべきNG行為を整理します。
第一に、金属製ヘラ・金タワシ・研磨剤入りナイロンタワシの使用です。物理的な衝撃や摩擦は、ホーロー層のマイクロクラックを拡大させ、最終的な破片剥離を誘発します。
第二に、急激な熱衝撃(ヒートショック)です。高温に熱せられた鍋を直後に水道水で急冷したり、冷蔵庫から出したばかりの冷えた鍋を強火にかけると、下地の鋳鉄と表面のガラスの熱膨張率の差に耐えきれず、釉薬に網目状のひび(貫入)が入ります。
第三に、塩素系漂白剤の原液塗布や長時間の浸漬です。塩素はガラス質をエッチング(腐食)して白ボケを引き起こす主因となります。