ビッグローズの中核施設である大展示室は、A・B・C・Dの4分割が可能な可動間仕切り構造となっており、全面結合時の有効面積は約7,200平方メートル、天井高約10メートルという西日本有数のスケールを誇る。各種見本市や展示会だけでなく、アリーナ級アーティストの全国ツアー会場として選ばれる理由もこの広大な無柱空間にある。
しかし、ここで押さえておくべき物理的特性が「専門のコンサート専用ホールではなく、あくまで産業見本市用の多目的展示場である」という点だ。客席は固定式のスタンド席ではなく、催事ごとにパイプ椅子等を設置する完全フラットフロア(平土間形式)となる。このため、座席表や見え方に関して以下のような構造的特徴が現れる。
第一に、後方ブロックの視認性問題だ。傾斜(段差)が一切存在しないため、ステージの高さが十分に確保されていない公演では、後方席(概ね30列目以降)になると前の観客の頭部や体格によってメインステージの中央が遮られやすい。「アリーナ後方だったが、双眼鏡を使っても前の人の隙間からアーティストの上半身がチラリと見える程度だった」という感想が目立つのはこのためだ。前方の視界が制限される可能性を見越し、倍率8〜10倍程度の防振または明るい光学双眼鏡を持参することが推奨される。
第二に、展示場特有の音響特性である。壁面や天井が硬質なコンクリート・金属部材で構成されているため、ロックバンドの激しい重低音や高速ビートでは低音の残響(音の跳ね返り)が発生しやすい。近年のプロツアーでは高性能なラインアレイスピーカーと音響ディレイ調整によって劇的な改善が見られるものの、専用クラシックホールのようなクリアな残響を期待するとギャップを感じる場合がある。「ボーカルのMCがやや反響して聞き取りにくかった」という声がある一方で、「フラット空間ならではの一体感と音圧の迫力は凄まじい」と評価するファンも多く、空間の癖をあらかじめ織り込んで楽しむ姿勢が求められる。