「HATTIFNATT 高円寺のおうち」のファサードに立った誰もが最初に驚くのが、大人の腰ほどまでしかない極端に背の低い玄関扉です。なぜこのような意図的な設計がなされているのか。店舗の空間コンセプト資料や関係者の証言を紐解くと、そこには明確なメッセージが込められています。
この小さな扉は、「大人が頭を下げ、身体を小さく屈めることで、物理的にも精神的にも子どもの目線に戻る」ための境界線(結界)として機能しています。社会的な肩書や日々のプレッシャーを背負った大人が、扉をくぐるという身体的アクションを通じて無防備な少年少女の心へとリセットされる仕掛けです。
一歩足を踏み入れると、床から天井に至るまで広がるのは、人気クリエイターユニット「marinimonteany(マリーニ・モンティーニ)」が手掛けた愛らしい壁画アートです。ウサギやクマ、鳥といった個性豊かな森の仲間たちが色鮮やかに描かれ、まるで木造の秘密基地に迷い込んだかのような錯覚を覚えます。創業当時から掲げられている「木とつくる、40年後に完成するお店」という哲学の通り、年月を経て深みを増した古民家の木肌と手描きアートが見事に調和し、作られたテーマパークとは一線を画す唯一無二の温もりを放っています。