この場所を語る上で外せないのが、近代酪農の父とも称される黒澤酉蔵の存在だ。札幌市豊平区月寒の地に農業者育成の拠点として八紘学園を設立した彼は、土を愛し、命をいただくことの尊さを説き続けた。その理念を受け継ぐ形で1953年に誕生したのが、ツキサップじんぎすかんクラブの源流である。
戦後日本の食糧難を克服すべく、自給自足と地産地消の精神を具現化した農園の丘。現代の外食産業が効率やコストカットを追い求める中で、この店は頑ななまでに原点の素朴さを保ち続けている。樹々に囲まれた木造のロッジに足を踏み入れると、壁に刻まれた年輪のように積み重なった開拓者たちの情熱が肌に伝わってくる。