「180km足らずの距離なのに、なぜ乗車から降車まで6時間近くもかかるのか?」という疑問は、初めて名阪間の深夜便を検討する誰もが抱く違和感です。昼行の高速バスであれば、名神高速道路や新名神高速道路を経由して2時間半から3時間程度で走り抜ける距離です。
名古屋・大阪間深夜便における所要時間の真相は、高速道路上のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)における「意図的な長時間の時間調整停車」にあります。仮に深夜23時30分に名古屋駅を出発し、通常の巡航速度で直行した場合、バスは深夜2時前後に大阪駅周辺へ到着してしまいます。その時間帯は地下鉄も私鉄も完全に運行を停止しており、駅舎すら施錠されているため、乗客を降ろしても屋外に放り出されるだけです。
そのため、滋賀県内の多賀SAや草津PAなどの大型休憩施設において、2時間から3時間近くにわたって完全消灯したまま時間調整停車を行う運行ダイヤが組まれています。エンジン音を最小限に抑え、乗客にまとまった睡眠時間を確保させつつ、現地の公共交通機関が動き出す午前5時30分〜6時30分に合わせてターミナルへ到着するよう綿密に計算されているのです。また、この待機時間は国土交通省が定める交替運転者の配置基準や連続運転時間のインターバル規制を遵守する安全管理上の要件も満たしています。