インターネット上の掲示板やSNSでは、「怒羅権はマフィアのような統制された単一組織であり、トップの命令一つで何千人もの構成員が一斉に動く」という言説が散見されます。しかし、犯罪社会学や警察庁の捜査データが示す実態は、それとは大きく異なります。
怒羅権は一枚岩のピラミッド組織では決してありません。「葛西」「府中」「王子」「千葉」といった発祥地域のグループごとに独立採算制のような形で動いており、時にはグループ同士で激しい主導権争いや内紛を起こしています。
その典型例が、2022年10月に東京・池袋の高層ビル「サンシャイン60」の58階レストランで起きた大乱闘事件です。出所祝いのパーティーに集まった約100人のうち、数十人が殴り合いの喧嘩を始め、食器やボトルが飛び交う流血沙汰となりました。この事件は外部組織との抗争ではなく、怒羅権内部の派閥対立や意思疎通の破綻が公の場で噴出したものでした。
「絶対的な指導者が組織を統率している」というのは完全な誤解であり、実際は独立した細胞(セル)が無数に連なるアメーバ状の集合体です。だからこそ、特定のトップを逮捕しても組織全体が活動を停止することはなく、別の細胞が新たなシノギを求めて蠢き続けるという、捜査機関にとっても非常に厄介な性質を持っています。