高校卒業後、野球を辞めて俳優の養成所へ通うと宣言したとき、父・和利氏は息子の選択を否定しなかった。反対するどころか、男同士の約束として静かに一つの言葉を贈った。「自分でやる決め事をしたら、途中で投げ出さずに最後までやり通せ」。
この極めてシンプルで重みのある言葉は、下積み時代の山田裕貴を何度も救うことになる。オーディションに落ち続け、先が見えない不安に押しつぶされそうになった夜も、過酷な撮影現場で心身を削られる瞬間も、父の教えが心の支柱となった。「カメレオン俳優」と称される変幻自在な演技力や、どんな役柄にも泥臭く向き合う姿勢は、間違いなく父から受け継いだプロとしての“美学”である。