ネット上の簡易レシピには「すべての材料とバターを入れてスイッチを押すだけ」と記載されているものが散見されますが、これは風味の観点から見ると大きな盲点です。
乳脂肪分で構成されるバターは、高温(100℃以上)で長時間加熱されると特有の芳香成分(ラクトンやジアセチル)が揮発してしまいます。さらに、油膜がお米表面を覆うことで熱伝導率が変化し、炊きムラの一因にもなり得ます。「バターは炊き上がりの蒸らし直前に投入し、余熱で溶かしながらさっくり混ぜる」のが、プロが実践する最も香り高く仕上げるアプローチです。
また、トマト缶を使用する際の誤解として「缶詰をあらかじめ煮詰める必要がある」という説がありますが、炊飯器調理ではその必要はありません。ただし、トマトの比重はお米や水よりも重いため、底に沈むと焦げ付きや炊きムラの原因になります。水とコンソメをしっかり攪拌した液の上に、トマトペーストをそっと浮かせるように乗せるだけで十分な旨味が全体に行き渡ります。