「暗いトンネルを抜けたら光が見えた」「死んだはずの家族に会った」。世界中で報告される臨死体験(NDE)は、長らく脳の酸素欠乏による幻覚だと片付けられてきた。確かに、酸素が枯渇した脳は異常な興奮状態に陥り、幻覚を見やすくなる。
しかし、心肺停止状態で脳波が完全に平坦だった患者が、手術室内の医師たちの会話や、器具の配置を正確に記憶していた事例がいくつも報告されている。脳が機能していないはずの時間に、なぜ明確な「意識」が存在し得たのか。この矛盾は、現在の神経科学における最大のミステリーの一つであり、単なる「脳のバグ」という説明だけでは片付けられなくなっている。