かつて同館の元館長ニール・マクレガーが主導し、BBCとNHKの共同プロジェクトとしても世界的な熱狂を巻き起こした『100のモノが語る世界の歴史』。今回の展示構成には、その革新的なストーリーテリングの手法が存分に活かされている。文字で書かれた記録だけが歴史ではない。名もなき職人が削り出した土器や、交易地を行き交った硬貨こそが、ときに文字史料以上に赤裸々に時代の真実を暴き出す。
勝者の視点に偏りがちだった従来の世界史観を覆し、道具や装飾品を通してグローバルな文化の交差点をつなぎ直す試み。ひとつのコインに刻まれた異なる文明のモチーフを見つめていると、国境や時代の壁を越えて人類が連帯してきた証拠が浮き彫りになる。知的な刺激に満ちたこの展示手法は、歴史ファンのみならず、現代社会を生きるすべての人に新鮮な気づきを与えるはずだ。