SNSや大手知恵袋などのコミュニティを分析すると、「更年期の生理不順だと思って半年放置していた」「茶色いおりもの程度だったから病院に行かなかった」という告白が後を絶ちません。現代の医療現場で医師たちが直面しているのも、まさにこうした「正常性バイアス」に囚われた患者の遅延受診です。
都内の産婦人科クリニックに勤務する専門医の手記や臨床報告では、次のような生々しい実態が明かされています。「初診時に『閉経前の生理の狂いだと思っていた』と語る52歳の女性は、実際には子宮内膜が20mm以上に肥厚しており、組織診の結果は子宮体がんのステージ2であった」「下着にわずかに茶色い染みがつくだけだったため放置していたら、子宮頸管ポリープが炎症を起こして悪化していた」といった事例は枚挙にいとまがありません。
背景には、「内診台に乗るのが恥ずかしい」「子宮がんの検査は痛いと聞く」という心理的忌避感があります。この恐怖心が「更年期のホルモンバランスの乱れだろう」という都合のよい解釈を生み出し、受診のハードルを不当に押し上げてしまっているのです。しかし、初期段階で受診した患者の多くが「超音波検査だけで筋腫やポリープの有無がすぐ分かり、早く来ればよかった」と口を揃えます。