この会場を語る上で欠かせないのが、プロレスリング界のふたりの巨頭、ジャイアント馬場とアントニオ猪木が存在感を示した昭和の黄金時代だ。特に全日本プロレスの定期興行において、観客席とリングの近さが生む熱気は他の追随を許さなかった。選手の息遣いやマットの振動がダイレクトに観客へ届く距離感は、この場所ならではの魅力だった。
幾多の名勝負が繰り広げられたリングの周りには、超満員の観客が詰めかけ、地鳴りのような歓声が建物全体を揺らした。東京・後楽園ホールと並び「聖地」と称された理由は、レスラーとファンが一体となる濃密な密室空間にあった。