首都圏の鉄道網において、改札処理速度の速さは世界屈指だ。東日本旅客鉄道(JR East)が運用する「Suica」や、株式会社パスモが展開する「PASMO」には、ソニーが開発した非接触ICカード技術「FeliCa」が採用されている。通信にかかる時間はわずか0.1秒前後。改札機を通過する人間が歩行速度を落とさずに通過できるこのシステムは、都市の毛細血管を詰まらせないための奇跡的な技術だ。
しかし、人間側のハードウェア――すなわちカードの携行方法が足を引っ張ることがある。タッチ時にカードがリーダーの中心から数センチ浮いてしまったり、鞄から取り出す動作で立ち止まったりする事態だ。このコンマ数秒のラグを解消する道具として、コードリールを内蔵したカードホルダーの役割が再評価されている。腕を伸ばすだけでリーダーに密着し、手を離せば即座に定位置へ戻る。インフラ側の超高速処理を人間の身体動作と同期させるための必須アイテムといえる。