視線を古代ギリシャへと転じると、哲学者ピタゴラスとその教団がこの星型に心酔していた事実に行き当たる。彼らにとって五芒星は「健康」と「完全性」のシンボルであり、黄金比の塊だった。線分が互いを黄金比で分割し続ける自己相似の美しさに、彼らは宇宙の神理を直観したのだ。
数学を宗教として生きたピタゴラス教団の密儀と、東洋の自然哲学が到達した結界の論理。一方は宇宙の調和を証明するために、もう一方はカオスを調伏するために同じ図形を選び取った。異なる文明が別々の動機から同じ印章にたどり着いたという事実は、人間の脳が特定の幾何学パターンに対して抱く根源的な畏怖を雄弁に物語っている。