曲名である「ギブス」は、独創的な比喩表現として機能している。なぜ「包帯」でも「鎖」でもなく「ギブス」なのか。包帯では解けてしまう、鎖では冷たすぎる。骨折した身体を石膏でがっちりと固め、動かなくさせる「ギブス」こそが、彼女にとっての理想の愛の形だったのだ。
傷ついた心を守るための装具でありながら、自由を完全に奪う不自由さ。相手に「ギブス」をはめることで、自分のもとから逃げ出せないようにする。あるいは、自分自身に「ギブス」を装着して相手からの傷に耐える。この二重の意味合いが、楽曲全体に横たわる歪んだ愛の重みを生み出している。相手の呼吸や体温までをも独占したいという狂気じみた願望は、聴き手の胸を鋭く刺す。