足利伊勢神社の最大の特徴は、下神明(内宮)と上神明(外宮)という二つの社殿が山裾に並び立つ独特の配置にある。本家と同じく二社参りが古くからの習わしだ。平安時代末期、この地を治めた足利氏の祖・足利義康が伊勢神宮の神領(御厨)として寄進した歴史に端を発し、鎌倉、室町、そして現代へと連綿と受け継がれてきた。
木造建築の細部を見上げると、風雪に耐えた欅の木目が力強い。武士たちが戦勝祈願や領民の安寧を祈り、頭を垂れたであろう石畳。そこには教科書の記述だけでは決して掴めない、生きた中世の鼓動が刻まれている。