ネット上のファンコミュニティでは、時に事実とは異なる誤解が定着してしまうことがあります。その代表例が「二軍で打率3割を打っているのに昇格させないのは監督の好き嫌いではないか」という論調です。
現場のスカウトやスコアラーが重視するのは、単純な打率という数字ではありません。二軍の投手陣は一軍に比べて変化球のキレや制球力に明確な差があります。ファームの試合で甘い直球を捉えて打率3割を残していても、一軍投手の150キロ超の直球や鋭いスプリットに対応できるスイングスピードや見極めの技術が伴っていなければ、一軍昇格は見送られます。中日ドラゴンズファーム降格を命じられた選手が、どのような課題を与えられて打席に立っているのかという「質」の視点が不可欠です。
また、中日ドラゴンズ支配下登録の枠数制限も見逃せない要素です。支配下選手は最大70名と規定されており、有望な育成選手が二軍でどれほど打ちまくっていたとしても、チームの守備位置ごとの人数バランスや支配下の空き枠がなければ、即座に中日育成選手昇格とはいきません。球団フロントは7月31日の育成契約から支配下登録への移行期限を見据え、故障者の発生リスクを緻密にシミュレーションしながら枠を1つずつ埋めていくのです。