素材至上主義の潮流を牽引するのが、ビーントゥバー専門店京都の実力派たちです。ビーントゥバーとは、ショコラティエ自らがカカオ豆(Bean)の仕入れ・選別・焙煎から板チョコレート(Bar)の成型までを一貫して手掛ける製造形態を指します。
そのパイオニアであるDari K(ダリケー)の創業理念は、既存の流通システムへの挑戦でした。公式発表資料や創業者の手記によれば、代表の吉野慶一氏は「カカオ農家が正当に評価されない構造」を打破するため、インドネシア・スラウェシ島へ単身飛び込みました。農家に高品質な発酵技術を直接指導し、適正価格で買い取るフェアトレードを実践。京都の工房で自家焙煎されるチョコレートは、香料や乳化剤を一切加えずとも、まるで柑橘類やベリーを思わせる鮮烈なアロマを放ちます。京都駅ビル内の店舗で手軽に買える利便性も手伝い、本質的なストーリーを重視する層の手土産として定着しました。
また、中京区に本店を構えるCOCO KYOTOは、カカオの健康効果に徹底的に焦点を当てています。一般的なチョコレート製造で用いられる高温焙煎を避け、低温でじっくりカカオの栄養価を残す「ローチョコレート(RAW Chocolate)」を展開。公式取材データによると、白砂糖の代わりに血糖値の上昇が緩やかな羅漢果(ラカンカ)やアガベシロップを使用し、グルテンフリーと無添加を徹底しています。同店のフォンダンショコラを試食した際、重たさや胃もたれを一切感じさせないキレのある後味に驚かされました。「甘いものは食べたいが、健康や体型も妥協したくない」という現代人の心理的葛藤を鮮やかに解消する、ウェルビーイングなショコラです。