宇多田ヒカル『Prisoner of Love』歌詞の真相と愛の救済

宇多田ヒカル『Prisoner of Love』歌詞の真相と愛の救済

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『Prisoner of Love』を語る上で欠かせないのが、2008年春にフジテレビ系列で放送された木曜劇場ドラマ『ラスト・フレンズ』主題歌としての鮮烈な存在感です。長澤まさみ、上野樹里、瑛太、水川あさみ、錦戸亮という実力派俳優陣が集結した同作は、DV(ドメスティック・バイオレンス)、性同一性障害(性別違和)、性恐怖症など、当時の地上波ドラマとしては極めて踏み込んだタブーに挑み、最高視聴率22.8%を記録する社会現象となりました。

本作の誕生プロセスには、宇多田ヒカルならではの職人的かつ共感性の高いアプローチが存在します。当時の制作関係者の証言やインタビュー記録によると、宇多田はドラマのプロットや準備稿の段階から入念に目を通し、登場人物たちが抱える「言葉にできない孤独」と真正面から対峙しました。当初、5thオリジナルアルバム『HEART STATION』に収録されていた楽曲でしたが、ドラマ制作陣からの熱烈なオファーを受け、さらにドラマの世界観と完璧に呼応したことで、急遽シングルカットが決定した経緯があります。

宇多田ヒカルの楽曲制作の経緯と裏話を振り返ると、彼女は単にタイアップ先のストーリーをなぞるのではなく、物語の登場人物全員に通底する「愛を求めるがゆえの苦悩」を抽出しました。明るいポップスが主流だった当時のチャートシーンにおいて、哀愁を帯びたストリングスと重厚なR&Bビートを融合させた本作は、痛みを抱える若者たちのアンセムとして受け入れられたのです。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。