地上波のタイムテーブルから『アタシんちの男子』のタイトルが消えて久しいことから、インターネット上では「放送禁止になったのではないか」という極端な噂まで散見されます。特に取り沙汰されやすいのが、四男・優役を演じた山本裕典さんの契約解除問題や、主演の堀北真希さんの芸能界引退です。しかし、民放キー局の編成関係者やライツ担当者への取材を突き合わせると、実態は全く異なる構造が見えてきます。
まず、山本裕典さんは2017年に当時の所属事務所との契約解除が報じられたものの、法的な刑事事件や薬物関連のトラブルを起こしたわけではありません。その後は舞台復帰を果たし、近年も配信番組『愛のハイエナ』等で大きな話題を呼ぶなど芸能活動を継続しています。法的な放送制限事由には一切該当せず、実際に彼が出演する他の過去作品も有料プラットフォーム等で正規に流通しています。
また、堀北真希さんが2017年に家庭への専念を理由に引退した件についても、本人が過去の出演実績の二次利用を拒絶しているという事実はありません。同局・他局を問わず、堀北さん主演の『野ブタ。をプロデュース』や『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』は特別総集編やTVer等で繰り返し取り上げられています。つまり、特定の個人が原因で「再放送が禁じられている」という言説は完全な誤解です。
決定的な要因は、キャスト陣の豪華さゆえに跳ね上がった二次利用の権利調整コストと、地上波再放送枠自体の縮小にあります。本作のレギュラー陣は、要潤さん、向井理さん、瀬戸康史さん、高島礼子さんなど、現在それぞれ異なる大手事務所のトップランナーとして君臨しています。地上波で再放送を行う場合、すべての出演者および所属事務所、劇伴音楽、主題歌の権利者から個別に許諾を取り直し、所定の二次使用料を支払う必要があります。情報番組枠の拡大によって地上波のドラマ再放送枠そのものが激減した結果、「手間と莫大なコストをかけて昼帯に流すよりも、自社系配信サービスへ誘導したほうが合理的である」という経営判断が働いているのが真相です。